Allright Graphics 高田 唯さんと山田 智美さんによる対談
ものづくりの可能性を新たに広げる高級用紙「PHO」の面白さ。
今回、デザイナーであるお二人自身のニーズも満たす「PHO見本帳」を作っていただきました!ポイントは、「探しやすく・使いやすい」「知りたいことが分かり、やりたいことをイメージできる」。まずは、異なる複数の効果の印刷について、差を比較して検討できるように、綴じるのではなく鋲で1カ所だけ留め、スライドして並べられる作りにしました。また、どんな状況(機械)、どんなインキで刷っているのかも明記。「デザイナーが使うことが多い、蛍光色や金色などのサンプルも入れました。デザインはできるだけ排し、紙の質感や色味を生かしています」(山田さん)。
「外箱には、PHOのおすすめの用途をピクトグラムで表現。PHOのエンボス絹目を使い、出し入れもスムーズで手にとっても心地よく、さりげなく印象的な質感に。「富士フイルムさんなのでカメラっぽさも意識し、かっこよく仕上げました(笑)。便利にガンガン使ってもらえる見本帳になったと思います」(高田さん)。
最初からずっと感じているのは、「創作意欲をかき立てる紙」。
「初めて触れたのは、PHOの『WPHOエンボス絹目』。絹目の手触りが今までにない心地よさでした。『創作意欲をかき立てられる紙だな』というのが、その時から変わらない印象です」と高田さん。「特にエンボス絹目は、どこにもない面白い表情だなと。僕は書籍の表紙やパッケージに使ってみたいと思いました」。
実際に、PHOの応用力をみるために、ボックスのパッケージを試作してくださったお二人。高田さんは、「パッケージにすると、印刷の色が鮮やかに出て、これは適していると思いました。エンボス絹目は、インキ部分が凹凸により少し光って、印象的に仕上がりました。耐久性があって紙のコシも強いので、フォルムもきれいに出ます」といいます。
また、「PHOをご紹介いただいてから活版印刷でもテストしてみたのですが、表面のエンボス加工もしっかり残って、活版印刷と相性が良かったです。エンボス絹目110kgを2枚合紙して、活版印刷で作った名刺は、手触りがよく、名刺入れからするっと出せるのがいい。これを今回、PHOの見本帳でも生かしました」といいます。
質感が目立ちすぎないから、印刷が自然、写真も生きる。やはり富士フイルムですね!
高田さんは、「次にいいなと思ったのが、紙の目の安定感。印刷すると紙の質感、繊維が目立って気になる紙もあるのですが、PHOはほどよい感じで目立たなくて、いいんです。非塗工だからですかね。ほどよくインキを吸って、テカったりしない。印刷をしたところ・していないところの差が少なくて、全体として自然に見えて、やはり心地よい」といいます。
他にも、おすすめの用途として、高田さんは、写真集を挙げます。「紙の目がばらばらだと紙が主張しはじめてしまい、写真に対してうるさくなることもあります。PHOはかなり落ち着いているので、写真が引き立つ。やはりそこは写真印画紙を作る技術で作られているからなんですかね?「富士フイルムならではの紙」という感じがします」。
また、PHOの色味の種類の中では、「『PHO』や『PHO淡クリーム』が好み。特に使ってみたいと思いました。読み物とかに向いている気がします。単色の写真集なんかにいいかもしれない」といいます。さらに、この2つの色味について、「自然な懐かしい色味で、人の目に心地いいのだと思います。紙の色にも流行があり、今は白色度が高い、青白いような紙が多いので、その中ではまた際立ちます。写真の富士フイルムさんがそういう紙を作っているのは、説得力がありますね」と語ってくださいました。
発色がよく、エンボスも色が出やすい。箔押しや本文用紙なども試したい!
印刷時の発色について話してくださったのは、山田さんです。「今回は、PHOの見本帳でUVオフセット印刷を使ったのですが、カラーの発色は、思った以上にキレイに出ました。モノクロ写真もスミがしっかり乗って濃度の違いが出せたので、求めていた表現ができました」。また、特に絹目エンボスのPHOについては、「一般にエンボス加工の紙は、印刷が浅く出る印象があり、色が安定しない傾向にある気がしますが、PHOはふわっとした感じで色が乗りやすく、理想の色が出しやすいように感じました」と特徴を挙げてくださいました。
最後に、お二人に「これからPHOでものを作るとしたら、何をしたいですか」とクエスチョン。山田さんは、「PHOに箔押し加工の組み合わせも試してみたいです。エンボスの紙は、厚さが豊富なのもいいですね。今後、『PHO淡クリーム』の色でも作ってくれたらと期待しています」と、リクエストもくださいました。
高田さんは、「書籍の表紙に使いたいと思いましたが、本文用紙にもいいですね。つるっとなめらかで、めくる感触がよいと思います。先ほども言ったように、ノスタルジックな印象の色味は、写真集にぴったり。表裏差も非常に少ないですしね。ほかには、強くて手触りがいいのでパズルなどにもいいでしょうし、シールに使うタック紙(粘着加工の紙)をコシのあるPHOで作ってもいいのでは。もっといろんな良さが眠っていると思う。他のクリエイターや写真家さんにも実験してもらって、いろいろな顔を見てみたいです」。
ご紹介
Allright Graphics
高田 唯さん(左)、山田 智美さん(右)
広告、装丁、パッケージデザインのほか、イベントの企画も手掛ける。活版印刷工房 Allright Printingの運営と、紙や印刷、製本、加工などの会社でつくる印刷加工連にも参加するなど、紙のエキスパートでもある。高田さんは株式会社Allrightの代表を務める。
Allright Graphicsのホームページ: www.allrightgraphics.com
出典:マガジンGC vol.21
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