カメラマン 浅川 英郎 さん インタビュー

狙っていた色にピタッと決まる 写真集や写真展示に「PHO」は最適

スピッツやユニコーン、椎名 林檎など、名だたるアーティストたちのCDジャケット写真を手掛けてきたカメラマン、浅川 英郎さん。2018年1月と2月に、テーマの異なる2つの写真展を続けて開催しました。会場に置いた写真集や、展示写真の制作に浅川さんが選んだのが、富士フイルムのテクノロジーを活かしてエム・ビー・エスが製造、販売する高級用紙「PHO」と、富士フイルムデジタルプレスが販売する枚葉型インクジェットデジタルプレス「Jet Press 720S」の組み合わせです。

音楽とセットで思い出に残る「ジャケ写」。
今の時代にはどう見られるのか?

ジャケット写真を展示した1月の個展「Musikfoto」の写真集(上)とDM(下)
ジャケット写真を展示した
1月の個展「Musikfoto」の
写真集(上)とDM(下)

カメラマンの浅川 英郎さんは約25年前に独立して以来、その時代を代表するアーティストたちのCDジャケット写真を数多く撮影してきました。
「音楽とセットになって人々の記憶に残っているのがジャケット写真です。幸いにも僕は、音楽が最も盛り上がった90年代に、たくさんのジャケ写を撮ることができました。25年も前に撮った僕の作品が今もレコード店の店頭に並んでいるのが、ジャケ写の面白いところです」と浅川さんは語ります。
そんなジャケット写真のうち約70点を集めた写真展「Musikfoto」を、2018年1月に開催。開催のきっかけについてこう説明します。
「昨年、スピッツが結成30周年の記念イベントを開催する際、90年代後半に撮影した写真をプリントして展示することになったんです。そのためにプロラボの担当者と打ち合わせをしたときに、スピッツの曲やジャケ写の話で盛り上がり、音楽とビジュアルがリンクしていることを再確認しました。でも今の時代、音楽はダウンロード販売が中心で、ジャケ写はあまり重視されていないように思える。その中でジャケ写を集めて展示したら、どんな反応が得られるのかなと興味を持ったのが、個展を開催しようと思ったきっかけです」

仲間の写真展で実物を見て惹かれた「PHO」。
色再現性が高いから安心して印刷できる。

1月の個展では、展示する写真には銀塩プリントを使いましたが、来場者が手に取って楽しむための写真集は富士フイルムの高級用紙「PHO」で制作しました。印刷したのは枚葉型インクジェットデジタルプレス「Jet Press 720S」です。
「昨年、友人のカメラマンの個展で作品を見たときに、銀塩プリントだと思ってよく見たら、どうやら違う。色がきれいで、高級感があって、独特の味わいがある紙を使っていました。自分も使ってみたいなと思って教えてもらったのが、PHOとJet Pressの組み合わせでした」
そこで浅川さんはまず、1月の個展のために、約130ページの写真集と、数種類のダイレクトメールをPHOとJet Press 720Sで制作しました。実際の印刷工程に立ち会った際、色の再現性に驚かされたといいます。
「PHOとJet Pressで写真を印刷すると、狙いの色にピタッと来るんですよね。最初に印刷した表紙は、グレーの微妙な階調を表現するのに2時間くらいかかってしまい、この調子ならいつ終わるのかと心配になりました。しかし、中面の約130ページ分を印刷して確認したところ、色を調整したいと思う写真は4、5点しかなかった。つまり、ほとんどの写真が狙いどおりの色になっていたんです。すごく驚きました。おかげで色のチェックはあっという間に終わりました」

何度も色校を確認するストレスがない。
見る人にも直感的に伝わった色の良さと高級感。

2月の個展「O2O2“Snapland”」で展示された写真集(上)と作品(下)
2月の個展「O2O2"Snapland"」で
展示された写真集(上)と作品(下)

浅川さんは、過去にはオフセット印刷で写真集を制作して、苦労した経験があるといいます。
「オフセットの場合、色校で確認したとしても、印刷していく中で徐々に色のズレが出てきます。また、印刷したロットによっても違いが生じる。その結果、自分の意図とは違う色の写真集が書店に出回ることもあって、それも仕方がないのかなと諦めていました。しかしPHOとJetPressの組み合わせの場合、そのような問題はゼロに近いと思います。今回もダイレクトメールを何回かに分けて印刷しましたが、後から増刷した分も全て同じ色に仕上がってきて、色校を何度も確認するストレスから解放されました。小ロットの印刷には最適な組み合わせだと思います」
写真展開催中は多くの来場者で賑わいました。「写真展を見にニュージーランドから来てくれた人もいました。小学校の頃に初めて買ったアルバムのジャケ写が、僕の作品だったと思い出を語ってくれる人も。それくらい音楽やジャケットに思い入れがある人が多いということです。さらに、ダウンロードで音楽を買っている若い世代の子たちも大勢来てくれて、面白がっていた。ジャケ写の文化って奥深いなと改めて感じました」
PHOで印刷した写真集やダイレクトメールも好評を博しました。
「PHOの見本帳を置いていたのですが、カメラマンの友人はみんな興味津々で、『どの種類を使っているの?』『厚さは何kg?』と聞いてきました。また、会場に置いたダイレクトメールは皆さんが持ち帰ってくれてすぐになくなるので、何度か増刷しました。良いものは直感的に分かるんでしょうね」
浅川さんは続けて2月にも、世界各地で撮影したスナップ作品を集めた個展「O2O2"Snapland" 」を開催し、今度は、浅川さんの写真とミュージシャンの河野 丈洋氏(元GOING UNDER GROUNDメンバー)の詩がコラボレーションした写真集を制作。写真集も、壁に展示する写真も、PHOとJet Press 720Sの組み合わせで制作しました。
「今後は、マットなタイプなどいろいろな種類のPHOを、作品の印象によって使い分けるのも面白いかも」と浅川さん。PHOとJet Press 720Sによる高品質な印刷が、クリエイターの創作意欲を刺激しているようです。

ご紹介

カメラマン 浅川 英郎 さん

カメラマン 浅川 英郎 さん
1968年山梨県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、流行通信スタジオ入社。1992年、フリーランスとなり音楽関係を中心に活動し、CDジャケットを多数手掛ける。ムービーカメラマンとしてミュージックビデオの撮影を手掛けるほか、ムービーディレクターとしても活動する。

小池事務所のホームページ: http://koike-office.net/asakawa/profile.html

出典:マガジンGC vol.24

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