「Jet Press」技術担当者 宮城 安利さん インタビュー

高性能な印刷機との相性が抜群な高級用紙「PHO」。2018年7月、国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展「IGAS 2018」の会場で、富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社が発表した枚葉型インクジェットデジタルプレスの最新機種「Jet Press 750S」の技術担当者である宮城 安利氏に、「Jet Press」シリーズの高い印刷性能を引き出す「PHO」の特徴について聞きました。

写真集にも優れた相性を発揮する「PHO」と「Jet Press」


最新機種「Jet Press 750S」は、プリンタヘッドが進化し、オフセット印刷を凌駕する画質をさらにレベルアップさせながら、新乾燥機構との相乗効果で生産性も大幅に向上し、毎時3,600枚の高速出力を実現

写真を意味する「Photograph」に由来する名を持つ「PHO」は、富士フイルムの写真印画紙用原紙の製造技術から生まれた最高級の印刷用紙です。繊維が均一に整っており、きめ細かな地合いと平滑性、心地よい手触りで、格調高く優雅な印刷効果を出すことができます。このことから近年、写真集やグラフィカルな書籍などに採用され、高い評価をいただいています。また、紙のコシが強くて伸縮も少なく、折りやミシン目などの加工がしやすいことから、パッケージやオブジェ作品などの立体的な制作物にも適しています。

一方、「Jet Press」シリーズは、富士フイルムが開発した高画質印刷が可能なインクジェットデジタルプレスで、先進のインクジェット技術による美しく鮮やかな色調やなめらかな階調、精細な線画再現性により、世界で150台以上の導入実績を持っています。

「Jet Pressはこの優れた色表現を何度でも再現でき、“印刷のたびに色が変わる”という問題が生じません。その力をさらに引き出してくれるのが、非塗工紙でありながら、優れた印刷適性を持つPHOでした」と宮城氏は語ります。

Jet PressとPHOとの出会いをつくったのは、複数のプロ写真家の方々でした。2017年に写真展示会や写真集で、Jet PressとPHOの組み合わせが採用されました。Jet Pressが実現する美しい色と、PHOの印刷再現性、高級感のある質感のどれもが合格点以上のものだったのです。

「オフセット印刷を凌駕する高画質を、毎回同じ色で再現する。それをJet PressとPHOの組み合わせは、確実に、短時間でやってのけてしまうんです。ある写真家の方は、実際の印刷工程に立ち会った際に、狙いの色にピタッと来る色の再現性に驚かされたといいます。100ページ以上を印刷して、調整したいと思う写真は4、5点。おかげで色のチェックはあっという間に終わったそうです」(宮城氏、以下同)

またPHOは、印刷をしたときにドットが広がりにくいので、JetPressとの相性が大変よいといいます。「一般的に、上質系の紙では、インクがにじみやすいものですが、PHOではこの問題が起こりません。ほかにも、用紙の変形が少ない、かすれがない、色のりがよいなど、PHOとの組み合わせには、作業性や品質において多数のメリットが認められます」

美しく自由な色表現を引き出しクリエイティブの可能性が広がる


富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ株式会社の宮城 安利氏。
「JetPress 750Sは商業印刷で完成の域に達しました。今後の責務は、高い表現力を生かした多様なクリエイティブの提案と、より多くの皆さまに活用いただけるよう環境を整えていくことです」

Jet Pressはオフセットと同じ4色印刷ですが、地合いがよく、平滑性が高いPHOを使うと、特色を使ったように、色ずれのない美しい印刷がさらに際立ちます。

「Jet PressでPHOに単一の色を全面にプリントすると、皆さんに『まるで色紙のようだ』と驚かれています。PHOは表裏差が少ないため、違う厚さの紙を組み合わせても、表裏ほぼ同じ色を表現できる。写真集の両面印刷や、書籍で見返しと本文の紙を全面単色で印刷してひと続きのように見せたり、一つの立体作品で複数の厚さの紙を採用しながら色を統一したりと、いろいろな表現ができると思います。また、インクのつぶれやにじみもないため、白ヌキ文字などもきれいに再現できます」

PHOには、クリエイターやデザイナーの心をつかむ面白さがあります。絹のようになめらかな心地よい手触りと高級感、ほかにはない発色のよさや質感の美しさと強さが喜ばれています。

「特に、PHOはカラフルなものはもちろん、リッチブラックの美しさも引き立つのです。『IGAS2018』会場で配布した『Jet Press750S』のカタログはJet PressとPHOを使用し黒を基調に仕上げたのですが、色の深みに高級感があると、大変好評をいただいています」

また、「現場の方々から話を聞いていると、PHOはクリエイターの創作意欲を刺激するようです」と宮城氏。「紙のコシも強く、伸縮も極めて少ないので、自分の作品が美しい姿を長く保てるのも、クリエイターにはうれしいと思います」

最新機種「Jet Press 750S」も発表し、高画質と生産性をさらに高めた革新的なパフォーマンスでお客さまの印刷ビジネスを広げるJet Pressシリーズ。PHOとの組み合わせで、クリエイターの方々の新たな創造の可能性も広げることでしょう。

出典:マガジンGC vol.26

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